「この鹿の頭の剥製が、一日300円でいいんです。たったコーヒー一杯のお値段であなたのお部屋の鹿感が大幅に上がるんですよ!」
物を売ろうとする人の常套句、「わずかコーヒー一杯分のお値段で」「コーヒー一杯我慢するだけで」。
300円~500円程度の物やサービス、または日割り換算でそのくらいの値段になるものを薦めるときに必ずといっていいくらい出てきます。
なぜ毎回必ずコーヒーなのか……。なぜコーヒーを我慢させようとするのか……。
今回はその怒りをぶつけようと思います。
コーヒーの優先順位なめるな
コーヒー好きのコーヒーの優先順位を舐めるなと言いたい。
新しいスマートフォン、乾燥機付き洗濯機……。欲しいものはいろいろあるけれど、それでもコーヒーを我慢してまで欲しいと思えるものはありません。
「コーヒー一杯我慢するだけで……」?
無理です。コーヒー我慢できないです。
コーヒー切れてたら雨でも買いに行きます。
何を売りたいか知らないが、コーヒーよりも優先順位が上に来るなんて思い上がるなと言いたい!
コーヒーが我慢すべきものならまだしも、酒やタバコと違って、コーヒーは健康にもよいと言われていますから、やめたほうがいいものでもないのです。積極的に摂取していきたいものです。
それをやめさせて別のものに変えさせようとするなんて本当に相手のことを考えていますかと問いたい!
僕の優先順位としては、まず衣食住。そのあとヤクルト1000。次にコーヒー。まずはそこまでを確保します。他はすべてそのあとです。
普段から「あれ欲しいなあ」と思っているものでさえ、「コーヒーを我慢すれば買える」などという気が起きないくらいコーヒーは生活と切り離せないのです。
それをぽっと出の新入り商品がしゃしゃり出て「コーヒーを我慢すれば……」などおこがましいにも程がある。
ペットショップの店員が「あなたの家族の中から一番役に立っていない弟を捨てれば犬が飼えますよ」と言っているようなものなのです。
引き合いに出したいならコーヒーはやめておけ
言いたいことは言えたので怒りは収まりました。
まあ、ちょっと言い過ぎました。コーヒーを使ってしまった人はショックを受けて青ざめていると思います。
わかっています。悪気はなかったんでしょう。
面積を表すとき「東京ドーム◯個分」を使うのが定番であるように、そういうときコーヒーを使うのが定番だったからつい使ってしまったんでしょう。まさか自分が「弟を捨てろ」と言っていたなんてなかなか気付けないものです。仕方ないです。
ただ、これだけ覚えておいてください。定番だからといって、正解とは限らないのです。
僕以外にもコーヒーを生活必需品に分類している人は大勢いると思います。
そういう人に「コーヒーをやめてでも買うべき」と物を薦めるのは分が悪いし、反感を買う場合もあります。
たとえ自分の売るものがコーヒーに勝てると思っていたとしても、本当にコーヒーが好きな人にとっては同じ土俵に上げられた段階でその商品の印象が悪くなってしまうでしょう。
ですから物を売るとき、値段の比較&代替対象、引き合いに出すものとして安易にコーヒーを使わないことをおすすめします。
コーヒーじゃなかったら……
じゃあ、コーヒーじゃないとしたら、何を持ってくればいいのかと疑問にお思いでしょう。
「靴下」とかどうでしょう?
「靴下を買い替えるのを、あと1年我慢するだけで、こんな幸せが手に入るんです!」
それだったら「まあ、我慢できそうだな」と思えます。
本当に欲しいと思うものがあれば、靴下がすり切れそうでも買い換えるのを我慢してそれを買うかもしれません。
明日からお客様に商品を薦める際は「靴下を一年我慢していただけくだけで……」にしましょう。
中井佑陽.com 